「喜劇『ハムレット』悲劇?『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』」@大和田さくらホール

 大和田さくらホールへは初めて行きました。セルリアンタワーの裏手にある渋谷区文化総合センター内のホールです。図書館やプラネタリウムなどもある建物で、平成22年というから去年できたばかりの新しいところです。客席数は700ちょっと。さくらは所在地の町名が桜丘町だからでしょうか。ネーミングライツの募集もしているようですが、大和田は人名や企業名ではなく、この場所は以前は大和田小学校だった、さらにさかのぼれば町名が大和田町だったそうです。鎌倉幕府の御家人で、反乱を起こして滅ぼされた和田義盛の一族の大和田道玄つまり道玄坂の道玄と思われますが、この人に縁がある土地のようです。しかし、あの時代の名字は、領地の地名を名乗っていたので、どちらが先かはよくわかりません。

 カギかっこの中の長い長いタイトルには、2つの芝居のタイトルが入っています。シェイクスピアの「ハムレット」、トム・ストッパードの「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」。後者は前者のスピン・オフのようなものです。ですから、2つを続けて上演するというのは、なかなかおもしろい趣向です。
 ローゼンクランツとギルデンスターンの2人はハムレットの学友で、イギリスへ送られるハムレットに同行します。海賊に襲われた時にハムレットは船から逃げ出しますが、2人はそのままイギリスへと向かいます。2人はデンマーク王クローディアスからイギリス王への、ハムレットの処刑を依頼する手紙を預かっていました。しかし、それに気づいたハムレットは、手紙を持ってきた者を処刑せよという手紙にすり替えたので、もし2人がそのままイギリスへ行って、手紙が王に渡していたら、2人はその場で処刑されることになります。気の毒というべきか滑稽というべきか、2人は手紙がすり替えられていることに気づいていません。というより、元の手紙に何が書かれていたかも知りません。自分が何をしているのか、自分がどこへ向かっているのか、どんな運命が待ち受けているのか、考えもしていません。最後は悲惨ですが、通常は喜劇的に演じられる芝居です。
 どちらの芝居も、本来は1本で上演されるものなので、2本立てにするために、短縮されています。また、「ハムレット」には喜劇、「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」には悲劇?とついています。

 「ハムレット」はほぼ通行人に近いローゼンクランツとギルデンスターン以外は、本役ハムレット(長谷川純)、オフィーリア(高橋愛)、ホレイシオ(小林十市)、ポローニアス&レアティーズ(あべこうじ)、クローディアス(瀬下尚人)、ガートルード(斉藤レイ)の6人だけで演じられます。墓掘りはカットされていますが、旅の一座などは6人がそのまま一座になります。学校の体育倉庫なのか、後ろに跳び箱のようなものがあり、小道具としてバスケットボールのボールが使われたりします。しかし、何をもって"喜劇"といっているのかがわからない。いくつかの場面がカットされてはいますが、物語の流れも、主人公の悩みも四大悲劇「ハムレット」から、さほど離れたようには思えませんでした。また、冒頭で新しい王にこびへつらう者について、脚本には「追従」と書かれていると思うのですが、それを「ついじゅう」と読んだことで、すっかり醒めてしまいました。単純に王の後追いをするなら「ついじゅう」でもいいですが、あれは「ついしょう」でしょう。
 ミクシィのアプリに「演劇人生」というゲームがあって、そこに「ウザイ版ロミオとジュリエット」という芝居が出てきます。自分の悩みについて「ウザイ」と叫ぶようなハムレットなら喜劇的になったかもしれません。また客観的には彼の悩みがとんでもないお門違いなものとする解釈で喜劇的に扱うこともできそうです。喜劇と銘打つなら、結末はともかく何か喜劇的な要素が必要でしょう。

 「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」のふたりは日替わりで、私が観た日は博多華丸・大吉でした。ほかの日もお笑い芸人のコンビのようです。こちらはハムレットほど元のセリフや展開を覚えていませんが、1時間くらいで収まるようなものではなかったはずですから、かなり大幅にカットされているのでしょう。冒頭、2人が立っている場所には赤い円筒状の古い郵便ポストがあります。そして、渋谷を意識すると2人は言いますが、ほんとうのところ、どこにいるのか何をしているのか何のためにここにいるのかがわかっていない状態での会話が続きます。少々、元の戯曲から離れていたとしても、ローゼンクランツとギルデンスターンが置かれている状況は生きているようです。しゃべり続ける2人は博多華丸・大吉のままのようでもあり、ローゼンクランツとギルデンスターンになっているようでもあります。悲劇?というのはどうかなと思いますが、こちらは得心がいきました。ただ、漫才のしゃべりとしては長かった。

 ジャニーズJr、モーニング娘。、小林十市の振付、宮川彬良の音楽と豪華さを示す要素が豊富にあるにも関わらず、私はどうも乗り切れませんでした。

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