シアタークリエ「十二番目の天使」

 原作は読んだことがないだけでなく、存在すら知らなかった。事前に資料も何も見ていないので、どんな物語なのかは全くの白紙状態だった。
 入口ロビーに野球用語の解説と野球場の図が掲示されていて、どういう状況での物語なのかはある程度は想像できた。タイトルは野球チームの名前がエンジェルスというところに由来することが始まってすぐにわかったが、別の意味も想像できる。

 発端にある交通事故とBreak a legのひと言は悪く響いたが、これは去年交通事故で脚を骨折したためで、私個人の特殊な事情だ。

 物語は交通事故で妻と息子を亡くした男が主人公・語り手。彼が監督を引き受けた野球チームに入る、身体の弱そうな、野球も上手ではない少年が、生きる意欲を失っていた主人公を変える。
 この少年が言う「毎日、毎日、あらゆる面で、僕はどんどん良く なっている!」「諦めるな、諦めるな、絶対に、絶対に、諦めるな!」の繰り返しが、多くの人を変える。

 野球場は造形が日本風だった。アメリカの野球場だと田舎町の小規模なものでも内野に芝生がある。小規模なものだからこそスタンドは外野よりもネット裏からベンチ後方に設けられる。応援席を兼ねているためだ。ただし、スタンドをリアルな造形にすると劇場のセットとしては見づらそうだ。
 ついでに書くと「ツー・ストライク、ツー・ボール」は順番が逆で「ツー・ボール、ツー・ストライク」。設定された時代の1990年頃の日本だとストライクを先に言ったが、今はボールを先に言う。アメリカではずっと前からボールが先。それと胴上げも日本の習慣だが、入口の野球用語解説で取り上げられている言葉を初めて知る人たちのためには、細かな正確さよりももっと大事なことがあるだろう。

 墓地の場面の十字架の数で、タイトルから想像していた結末を確信した。だとすると、この物語の観るべきところは、結末までに彼に何ができるか、彼のために何ができるか、彼によって主人公がどう変わるかだ。
 改めて「毎日、毎日、あらゆる面で、僕はどんどん良く なっている!」「諦めるな、諦めるな、絶対に、絶対に、諦めるな!」、これが強い意味を持った。

 終演後のトークショーの話題にあったが、ミュージカルではないので、歌終わりなどの拍手をする間合いがない。それまでノーヒットだった少年が最後の試合でヒットを打つ、打球が飛んで来たら天を仰ぐしかなかったのが、見事にキャッチをする場面などは拍手をしてもよかったかもしれない。
 映画「がんばれベアーズ」の小柄で身体の弱そうな少年が初めて大飛球をキャッチした場面を思い出した。




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