観劇記と読書記

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zoom RSS 「センス・オブ・ワンダー」@IMAホール

<<   作成日時 : 2012/08/13 23:58   >>

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 IMAホールへ行くのは初めてです。自転車で行くつもりで、だいたいの場所は調べておいたのですが、山手通りを走っている時に小雨が降ってきました。途中の100円ショップで雨合羽を買いましたが、帰るころまで振っていたら、雨の中をけっこうな距離、走らなければならないと思い、駐輪場のある駅から大江戸線に乗りました。大江戸線は久しぶりです。開通したばかりの頃は、だいたい座れるくらいに空いていましたが、さすがに夕方だからか、それなりに混んでいました。IMAホールは終点の光が丘です。電車を降りてみると、前方は車庫のようでしたが、延長の構想はあるのでしょうか。
 駅はショッピング・モールの地下にあって、周囲は団地です。団地が先にあって、地下鉄が後からきたからか、周辺の街のつくりが独特です。大きな通りとバス停、駐車場と駐輪場、複数のショッピングビル、その中にIMAホールもありました。

 「センス・オブ・ワンダー」はミュージカル座という劇団のオリジナル作品で、レイチェル・カーソンの人生を描いた作品ということです。チラシには"地球の恩人、レイチェル・カーソンの贈り物"とあります。レイチェル・カーソンは生物学を学んだ作家で、代表作は自然保護と化学薬品の害について書いた「沈黙の春」、「センス・オブ・ワンダー:という著書もあります。

 結論から言うと、かなり残念な作品でした。曲はきれいで、ミュージカルらしいコーラスもあり、出演者の歌も立派なものですが、それでいいミュージカルになるかというと、そういうわけにはいきません。
 まず、レイチェル・カーソンが鳥が落ちてきたり、魚が浮いていたりすることから農薬の害に気づくところから始まります。それから、「沈黙の春」を書くために、農薬の使用状況や毒性についての調査に獲りかかります。ここは、まあいいです。
 導入部の後は、だいたい時系列に沿って進みます。最初は子ども時代。彼女は農場育ちで、両親と兄と姉がいます。文章を書くのが好きで、友達の誘いがあっても、いつも断って、机に向かいます。やがて、作文の賞を受賞します。大人ならともかく小学生くらいの子どもです。友達の誘いよりも、文章を書くことを選ぶのは悪いことではないし、そういう子どもがいてもいいと思いますが、他の子どもたちが彼女を友達と思うかどうか。この同年代の子どもたちが大学生になっても、彼女の友達だったというなら、それ相応のエピソードが必要だろうと思います。全体に人と人とのつながりのでき方も消え方も唐突な印象でした。もうひとつの問題は、西暦何年の話なのかが明らかでないことです。この物語は大恐慌、第二次世界大戦、DDTの大量使用など時代の状況と深く関わっているので、これは必須だと思います。

 さて、そのDDTの大量使用ですが、アメリカでは1940年代から50年代に害虫殲滅を目的として、大量散布が行われました。空を飛ぶ鳥が落ち、川を泳ぐ魚が浮くのを目にしたレイチェル・カーソンがDDT使用禁止を求める活動を始めたのはわかります。しかし、農場育ちの彼女が農薬すべてを禁止することを求めるものかどうか、観ていて疑問でした。たとえばイナゴの大発生で作物が全滅する可能性があること、そのための有効な対策として農薬があることを彼女が知らないはずはありません。
 「沈黙の春」新潮文庫版218ページ"まずなすべきことは、炭化水素の塩素誘導体、有機燐酸系の殺虫剤、そのほかの劇薬について許容量を廃止することだ。そんなことをすれば、農民の負担がふえるばかりだ、とすぐに反対の声があがるかもしれない。"  ここだけ読むと、農民の負担があっても、すべての農薬を禁止すべきと取れるかもしれません。ところが、219ページ"解決する道はただ一つ。もっと毒性の少ない化学薬品を使うこと。そうすれば、たとえ使用法を誤っても消費者に及ぶ害はぐっと減るだろう。"
 少し前に書いたように時代が重要なのは、ここで描かれているのは1960年代のアメリカでは政策として進められていた「化学薬品による有害生物絶滅計画」と、それに反対するレイチェル・カーソンの物語のはずだからです。そして、彼女が反対していたのはこの極端な計画にであって、農薬すべての使用禁止というその対極を目指したのではありません。そこのところが単純化されてしまっていました。
 隣の人は嗚咽していたので、これでいいという人もいるのだと思いますが、私にとってはとても残念な作品でした。

 帰りも大江戸線でした。それにしても大江戸線はエスカレーターが長い。


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