「王様の耳はロバの耳」@劇団四季自由劇場

子どもの頃に観た記憶があります。タイトル曲の♪王様の耳はロバの耳、あれーじゃ何にも聞こえない 聞こえやしない♪というフレーズが頭に少しですが残っていました。ただし、劇場で観たのではなくテレビ放送だった可能性が高いです。当時はビデオデッキなどなかったのに、それでも覚えているのは、よほど印象が強かったか、何度も再放送されていたのか、あるいはその両方でしょう。その後、一時期は「王様の秘密」と別の題名で上演された記録もありますが、また元の「王様の耳はロバの耳」に戻ったようです。

 子どもの頃の記憶に戻ると、劇場だったかテレビだったかはともかく、ミュージカルを観る前から物語は知っていました。イソップ童話か何かの本を読んでいたのでしょう。なぜかロバの耳をした王様がいて、そのことは秘密にしています。秘密を知った者は牢屋に閉じ込めてしまいます。しかし、王様の髪を刈る、国でただ一人の床屋だけは閉じ込めてしまうと、国民の髪を刈る者がいなくなってしまう。そういうわけで、彼だけは秘密厳守を条件に自由の身でいられます。しかし、秘密を抱えているのは苦しいものです。誰にも聞かれない場所、森の中だったか洞穴だったかで、彼は大きな声で「王様の耳はロバの耳」と叫ぶ。その叫び声が王様の、高く上に伸ばされた耳に届いてしまう。王様は床屋を捕まえて処刑しようかと考えますが、森の木や草原の葦が「王様の耳はロバの耳」と囁いたため、話は国中に広まって、人々の噂にのぼるようになります。もはや誰が言い出したかは問題ではないと、王様が人々を許すと、王様の耳をロバの耳に変えた神様が現れて、耳を人間のものに戻す。そうして、心を改めた王様の国は平和で豊かな国となった、というような話でした。
 ちょっと調べると、この王様は触るものすべてを金に変えるミダス王で、傲慢さゆえにアポロンからの罰として、耳をロバの耳にされていたということです。

 ミュージカルはギリシャというわけではなく、昔々のあるところのお話です。王様は髪を刈るために国の床屋を召しあげますが、一人たりとも帰ってきた者はありません。そのことは国中の噂になっています。なぜなのか。帰ってこない床屋たちはどうしているのか。不吉な想像も広まっています。最後にひとりだけ残った若い床屋のところにも、ついにお召がかかります。みんなは行くのはよせと言いますが、彼は城へ行ったきり帰ってこない父親のことも気がかりなので、応じることにします。
 彼も、王様のロバの耳を見てしまいますが、国中の床屋が一人もいなくなっては困ると、秘密厳守を条件に帰されます。町の人たちから、あれこれ問われますが、彼は答えることができません。何も言わない彼を町の人たちは冷たい目で見るようになります。言いたくて言いたくて、我慢がならず、ついに彼は森の中で叫ぶことを思いつきます。
 森には精霊たちがいて、床屋の叫びを聞き、彼の味方になると歌います。王様がなぜロバの耳なのかを精霊たちは知っていて、それを床屋に教えます。励まされた床屋は本当のことをみんなの前で言う決心をします。

 演出や編曲がどこかで変更されていたらしく、子どもの頃の記憶と少しずつ違っていました。「あれーじゃ何にも聞こえない」ではなく「だから何にも聞こえない」だったり、その後の「ランランラン…」のリズムも変わっていたようです。YMCAを思い出すようなアレンジでした。その代わりということもありませんが、「あれじゃ何にも」はセリフにありました。
 当然ながら、周囲には小さな子どもが多く、隣にいた5歳くらいの女の子は「幕を開ける歌」が始まると、手を叩く用意をしたり、"客席のみんなも一緒に歌ってね"と声がかかる前から歌い始めたりで、かわいいというか微笑ましいというか、楽しそうでした。

 ちょっと気になったのは、王様の秘密を知った床屋が、みんなに言わずにいられないと考えてしまう気持のあり方です。わがままな王様に対する神様の罰ということは後で明らかになるので、"人が知られたくないと思っていることを言いふらしたい"ように見えてしまいます。「美女と野獣」のように、全身が怪物に変えられていると、呪いのようなものと受け取ることができますが、ロバの耳だとちょっと変わった外見をからかっているようにも思えてしまいます。早い段階で神様の罰だと明らかにされていれば、見え方も変わったかもしれません。

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