大川興業第36回本公演「Lock’n Roll」@下北沢 ザ・スズナリ

 ちょっと早く着いたので、カフェでもないかと思って少し探したのですが、どうやら違うエリアを歩き回ったようで、適当なところを見つけられないまま、彷徨ううちに開演10分前になっていました。安上がりに過ごしたと言えるかもしれません。
 チラシには"暗闇演劇 第5ステージ 見えない芝居 音と気配の芝居"と記されています。暗闇演劇は大川興業が商標登録しているのだそうでⓇマークまでついています。さらに見直すと"暗闇演劇の舞台演出支援方法は大川興業の特許です(特許 第4773944号)"と明記されています。事前に知らされていたのは、演出として劇場内を真っ暗にするということでした。それを聞いた時は、何分か真っ暗になるのだろうと思ったのですが、劇場入口で、およそ2時間真っ暗になるとの説明とともに非常用のペンライトを渡されたのでした。

 休憩なしのほぼ2時間の芝居は、まず照明が落ちて真っ暗になる。しばらく状況設定を伝える場面があり、その後にオープニング・タイトルのような意味でしょうか、光のパフォーマンスが入る。それが終わると後はエンディング寸前まで真っ暗でした。ほとんど明りとしての意味はないのですが、暗視カメラのファインダーと思われる赤い光と、記録用に回っているビデオカメラ(本編中はほぼ真っ暗なので、録音機かもしれない)の小さな光の点は目に入ってきます。

 真っ暗なのは、主人公の主観です。病気か何かで突然意識を失って倒れたままだったのですが、ある瞬間から耳が聴こえるようになります。しかし、目は見えない。病院のモニターにも意識があることを示す反応は何も映らない。聴こえてきたのは、よりによって脳死と判断され6時間後には臓器移植の手術を始めるという医者の話でした。
 この設定はおもしろいと思います。医者に意識を取り戻したことを何とか伝えなければならない、タイムリミットは迫っているというサスペンス劇が期待できそうです。

 ところが、ひとつ落とし穴がありました。暗闇というのは睡魔と相性がいい。特に暗視カメラの赤い光を避けようとして、目を閉じたのは大きな間違いでした。

 しばらく私の意識が飛んでいる間に、主人公の意識が戻ったことは伝わったらしく、私の期待とは別の話が進行していました。この主人公はひきこもりの人たちを外へひきだす活動を、かなり強引にやっていて、そのために家庭が崩壊したり、一部ではうらみを買っていたりもしていたようです。
 手法や結果はいただけないものの、かれ自身は真剣に取り組んでいるつもりでいます。理解者もいるし、かれのやり方で救われたと思っている人もいる。いちばんひどく恨んでいる相手は、一方で恩義も感じているようです。
 しかし、物語は破局へと進んでいきます。

 実験としてはおもしろいと思いますが、2時間真っ暗だと睡魔の問題もあるし、変化に乏しくなります。一度真っ暗にしてしまうと、目が暗闇に慣れてしまうので、いきなり明かりをつけると眩しくて仕方がないので、明るくしたり暗くしたりはできないでしょう。何か刺激を作らなければならないけれども、視覚的な刺激は使えない。そのために叫びが多くなってしまったのがいただけませんでした。
 今回、キャスト全員が男でしたが、女性の声が入れば聴覚に訴える表現は広がりそうです。明るい場面と暗闇の場面の往ったり来たりはできないとしても、全編真っ暗ではなく、途中で暗くなる、逆に途中で明るくなるというやり方はあり得るかもしれません。かなり無理なことを言いますが、音の表現以外に、暗闇の中で人が動いている感じを伝える方法があると、この暗闇演劇というアイディアがより広がるのではないかと思います。


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