「バッド・アフタヌーン」@赤坂RED/THEATER

 昼に観た公演の終演がだいたい4時、こちらの開演が5時。溜池から赤坂なので、サントリーホール前でお好み焼きを食べてから移動しました。余裕たっぷりというほどでもありませんが、慌ただしくもなく開演の10分前には席につきました。
 チラシにはタイトルの前後に「予測不能なドタバタコメディー!!!!」「~独立弁護士のやむを得ない嘘」と書かれています。このチラシも劇場で見るのが初めてで、予備知識はなく予測不能での観劇でした。

 幕はなく、セットは古い一戸建ての二階家の一階部分です。階段、廊下、外の見える大きな窓、奥に台所のあるガラスの引き戸、安っぽい応接セット、事務仕事用の机と本棚があります。独立弁護士ということは、ここで弁護士の仕事をするのでしょう。
 主人公の弁護士(ヒロシ)は、この家で妹(松田沙紀)と二人暮らしです。何年も前に出て行った父親の帰りを待っていて、そのために家は改築もせずに何とかこのまま守ろうとしてきました。妹は見かけはかわいらしいのですが、短気で粗暴です。寝起きが悪く、いくつも目覚まし時計を破壊し、時には金属バットを振り回して兄を追いかけ回したりもします。といっても仲が悪いわけではなく、そういう兄妹関係なのでしょう。兄の友人(土屋裕一)の前では猫をかぶったりもします。
 弁護士は、どこかの事務所で経験を積んだ後、独立し、この家で開業しようとしていますが、まだひとりの客も来ないという状況です。まじめで一本気というと聞こえはいいですが、言い換えると意地っ張りなところがあり、カッとなると見境なく、とんでもない約束をしてしまいます。 
 この家を買い取ろうという地上げ屋(菅原永二)から「一ヶ月以内に訴訟の依頼がなければ、家を明け渡す」という念書に捺印を求められた時も、ハンコをどこに押すかわかりますか?わからないでしょう?と言われて短気を起こし、勢いで捺印してしまったのです。
 ついに、その約束の一ヶ月最後の日が来てしまいました。訴訟の依頼はありません。期待も持てません。地上げ屋が雇った便利屋(今井隆文)の嫌がらせに、遊びに来ていた友人と対抗したり、とにかく誰か家に入ってくるようにと蕎麦屋の暖簾をかけてみたりはしますが、根本的な解決にはなりません。
 ようやく男がひとり(大村学)入ってきたと思ったら、本当に蕎麦屋と間違えていたり、電話がかかってきたと思ったら弁護士の高校時代の同級生(平田敦子)が新婚旅行のお土産を持って訪ねてくるというだけだったりでがっかりしてしまいます。
 しかし、話はしてみるもので、ちょっとカマをかけると、新婚の夫のDVや変人ぶりが明らかになります。しかも、その男とは先刻の蕎麦を食べに来た客でした。これなら、離婚訴訟の依頼につなげることができそうです。
 そうなると黙っていないのは、地上げ屋です。彼は新婚夫婦の仲を修復させようとする。弁護士たちは、それを阻止しよう訴訟に持ち込もうとする。そうして、ドタバタコメディーが展開していきます。

 はっきり言ってしまうと、ドラマとしては無理があります。簡単に念書に捺印してしまうようでは、弁護士としてやっていけないでしょう。友達のいない地上げ屋も、世界を旅する男も現実感というものがありません。
 現実感はありませんが、それぞれ極端なくらいに強烈なキャラクターの持ち主です。物語には無理があっても、人物像は明確です。そういう人たちが集まって展開するのは、ドラマではなく30分もののシットコムでしょう。これは、その第一回スペシャル・ロング・バージョンだと思って見ると腑に落ちます。最後に家は明け渡さずに済み、妹は兄の事務所を手伝うことになるので、2人を軸に、毎回依頼者が替わり、それぞれユニークな事件を持ち込んでくれば、シリーズにもなりえるかもしれません。

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