英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン ロイヤル・バレエ「ドン・キホーテ」

 TOHOシネマズ日比谷でロイヤル・バレエ「ドン・キホーテ」を観た。原作は同じセルバンテス作「ドン・キホーテ」ではあるけれども、長大な小説の全く別のエピソードが選ばれている。キハーノ、ドン・キホーテ、サンチョ・パンザ(英語ではパンザと発音するようだ)、ドルシネア姫は出てくるけれども、アルドンザは登場しない。

 屋敷の寝室でアロンソ・キハーノが夢遊の中で、ドルシネアから騎士に叙されるところから始まる。そこへサンチョ・パンザが現れて、ドン・キホーテと遍歴の旅に出る。
 剣は持っていたが、馬上槍は天蓋寝台の柱、兜は果物が入っていたボウル。

 寝室を出たドン・キホーテは町に現れる。この時、サンチョが吹くラッパが"Man of La Mancha"のトランペットのように響く。

 題名は「ドン・キホーテ」だが、バレエ版の物語の主人公は町の若い娘キトリ。キトリの父親は娘を金持ちの男と結婚させようとするが、キトリは反発して、彼女に恋する男バジルと一緒に町から逃げ出す。バジルはキトリからすると大勢いる崇拝者のひとりだったが、逃避行のうちに距離が縮まっていく。

 キトリは日本人ダンサーの高田茜。登場の瞬間、小柄なことに驚いた。他の女性ダンサーの誰よりも小柄に見えたが、踊りは大きく、ダイナミックで主役にふさわしいことがすぐに示された。

 休憩中にかつてのロイヤル・バレエのスター、ダーシー・バッセルがリハーサル中の高田茜を訪ねる映像が流れた。クラシックバレエの技術を踏まえて、その枠組みを越える表現のあり方を話すのは、ダーシー・バッセルが高田茜に対して言っている体になっているけれども、観客に向けた解説だろう。


 2幕では町から逃げ出したキトリとバジルがジプシーのキャンプに迎えられる。その後にドン・キホーテとサンチョ・パンザがついてくる。さらに、キトリの父親と彼が婿にしたいと思っている金持ちの男が追ってくる。
 ジプシーたちのギターの音から、また"Man of La Mancha"を思い出させられる。このギターはオーケストラ・ピットではなく、舞台上で演奏される。
 ここで、風車に戦いを挑むドン・キホーテが出てきた。

 休憩中のインタビューで指揮者・音楽監督が言っていたこと。バレエ「ドン・キホーテ」は複数の作曲家の楽曲で構成されている。2013年に新演出版を上演するにあたって、音楽を再構築した。メロディーは作曲家たちのものだが、音全体は自分(音楽監督)の作品である。

 装置・衣装デザイナーのティム・ハトリーの名前はどこかで見たなと思って、後で調べたら2002年「私生活」、2009年「シュレック」でトニー賞を受賞した人だった。今年来日する「ボディガード」ロンドン初演も手がけている。

 いろいろあって、最後はキトリとバジルの結婚式があり、邪魔しようとしていた父親も2人の結婚を認める。
 「ラ・マンチャの男」には陰惨な場面もあり、全体は重い物語だが、バレエ「ドン・キホーテ」は明るい祝祭劇仕立てだった。

 映画としての上映だと、生の舞台とは違う距離感で新たな発見がある。そこは大きなメリットではある。
 しかし、ロイヤル・オペラハウスで観た時の、あのオーケストラ演奏の生の音は再現できないなぁ。



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