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zoom RSS ナショナル・シアター・ライヴ「リア王」(イアン・マケラン)

<<   作成日時 : 2019/04/23 02:01   >>

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 いつも行く映画館だと夜8時からの上映で終わるのが12時近く。それで昼間の上映がある渋谷ところへ行きました。それでも2時半頃からで終わった時には6時を過ぎていました。




 ナショナル・シアター・ライヴの「リア王」は前にサイモン・ラッセル・ビール主演のを観たことがありますが、今回はイアン・マケランのリア王。いろいろと違いはありますが、いちばん大きな要素は小さな劇場での上演、それに合わせた演出…でしょうか。サイモン・ラッセル・ビール主演の「リア王」はサム・メンデス演出で、小さなほころびから一気にドミノ倒しのように崩れていく…というような話をしています。

 今回のジョナサン・マンビィ演出版は、先にチチェスター・フェスティバルでの上演があって、ロンドンではデューク・オブ・ヨーク。ここは前に「ストーンズ・イン・ヒズ・ポケッツ」を観たことがあります。出演者2人だけでたくさんの役を演じる、セットらしいセットのない作品でした。今度はセットはあるし、人物も多いですが、舞台を小さくしていました。舞台を小さく…は同時に客席との距離を近づけるものでもあります。

 前回の「リア王」と方向は違いますが、今回も現代の衣装・意匠でした。緊急自動車のサイレン、ヘリコプター、空爆の音が聞こえてくる。物を燃やして暖を取るのが「RENT」のストーブのようなドラム缶。銃を持ってはいますが、銃による殺しは銃声だけ。見えるところでの殺しは刃物か毒物を使います。これに限らず現代衣装のシェイクスピアでよく見るやり方です。
 脇道にそれますが、歌舞伎の「助六」は吉原らしい町で、煙管を使いますが、あの話は曽我兄弟の仇討なので鎌倉時代初め(助六は実は曽我五郎)。「仮名手本忠臣蔵」には鉄砲が出てきますが、時代設定は室町時代初め(大序の"兜改"は新田義貞の兜を、足利直義=尊氏の弟が確認する)。観客の目に入る時代と、物語として表現されている時代は必ずしも一致しません。


 さて、今回の「リア王」。発端は、年老いたリア王が国を娘たちに分け与えようとするところから。開幕前の解説でBrexitとの関連を話していましたが、それはその通りに受け取らなくてもかまわないでしょう。それよりもゴネリルとリーガンが絵に描いたような"巧言令色鮮し仁"ぶりなところが入口としては印象的でした。しかし、リア王は巧言令色をすっかりそのまま受け取ってしまいます。サム・メンデス演出版でも年老いたリア王に認知症が進行していることがうかがえましたが、症状の現れ方が違ったようです。

 前に観た時はどうだったか忘れましたが、この「リア王」では子供たちに裏切られる、もう一人の父親の存在が大きく見えました。娘たちに裏切られるリア王、息子たちに裏切られるグロスター公。正確にはどちらにも裏切っていない子もいるのですが、父親たちは裏切られたと受け取っている。あるいは裏切った子供たちの口車に乗せられています。

 ところで、グロスター公の息子たちは母親が違うことが明言されていますが、リア王の娘たちはどうなのか。グロスター公の息子を産んだ女性のことは語られますが、リア王の王妃のことには全く触れられませんでした。
 三姉妹のうち、コーディリア役の女優だけが黒人だったのは、母親が違うことを示しているようにも見えるし、肌の色を見ないことにするキャスティングとも受け取れますが、特に説明はありませんでした。あるいは気がつきませんでした。
 コーディリアはフランス王妃としてブリテン国との戦争に、夫であるフランス国王と同行してくるのですが、前回のオリヴィア・ヴィノルのコーディリアよりも闘士的で、戦争が始まってからは迷彩服にベレー帽でした。戦闘の先頭に出ていると見受けられます。

 「ピーター・パン」に、"おはなしを語るウェンディに迷子たちが、"ハムレット"がどうなるかを知りたいとねだる場面があります。「リア王」は「ハムレット」よりは生き残る人が多いといえば多いですが、剣で刺されたり、毒を盛られたりするのではなく、"生きる力"を失って亡くなる人がひとりだけではないのが、80歳の老人たちばかりではないのが、より悲劇色を濃くしています。

 三姉妹の肌の色については説明がなかったと思いますが、主要人物が男性から女性に替えられたことは開幕前の解説で語られました。いまはブロードウェイで上演している「リア王」ではグレンダ・ジャクソンがリア王、ジェイン・ハウディシェルがグロスターですが、劇中の人物の性別を変えたのではないようです。


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