映画「ダンボ」(実写版)



 入ったのが字幕版だったせいか、子供の観客は目立たなかった。吹替版だと様子が違っていただろう。昔のアニメーション映画版は観たことはあるけれども、あまり覚えていない。それはともかく、なぜかつてのアニメーション映画の実写でのリメイクを続けているのか。「シンデレラ」「美女と野獣」があり、「アラジン」「ライオンキング」が続く。




 アニメーションとの違いは動物キャラクターは人間の言葉を理解しているようだが、自ら発することはない。そもそもアニメーション映画にいた動物キャラクターはほとんど出てこない。人間に置き換えられていたり、独自の人間キャラクターたちが物語を動かす。

 歌が少なくなったのも今回の特色で、サーカス団の乗る列車の歌"Casey Junior"は歌の部分はほとんど使われていない。母象が歌った" Baby Mine"は別のキャラクターが歌う。


 

 時代設定は1919年。第一次世界大戦とスペイン風邪の爪痕が深く濃い。失われた腕や亡くなった人が戻ることはない。かつては人気を誇ったサーカス巡業団も地方の小都市を細々とした興行で回っている。ジリ貧の状況で団長は妊娠したゾウを買うという賭けに出る。そこで生まれたジャンボ・ジュニアの身体には大きな特色があった。

 子象に限らず、サーカスの団員たちもよそでは活躍が難しそうだ。このあたりが監督のティム・バートンらしさで、ダンボに限らず、異形の存在が物語の軸になっている。これまでも使ったことはないが"耳をダンボにする"は今後も使うまいと思った。実写のダンボはアニメーションよりも悲しそうな目が印象に残る。

 つぶれそうだったサーカス団は、ダンボの特殊技能に目をつけたニューヨークの興行主ヴァンデヴァーから手を差し伸べられる。この人物はコニー・アイランドで巨大なテーマパークを運営している。”ドリームランド”を含め、いくつかの"…ランド"の他に、劇場も持っている。

 時代設定の1919年は、「ラブ・ネバー・ダイ」の10年後くらいでコニー・アイランドはより大きく成長している。また「アニーよ銃をとれ」のワイルド・ウェスト・ショーは20年前くらい。「ダンボ」のいるサーカス団は動物の曲芸とワイルド・ウェストで成り立っていたのは、過去に描かれたサーカス団と実際の歴史を踏まえているのだろう。
 字幕では「メシをおごろう」と出たが、原語では"Buy you a Hot-Dog"と言っているところがあった。文字数でやむを得ないだろうけれども、ホットドッグの方がコニー・アイランドらしさは出る。


 終盤に"Anything can happen"とメリー・ポピンズのセリフが転用されたところがあった。かつてはアニメーション映画でないと表現できなかったことが、映像技術の進歩で実写映画でも今ならできる。実写でつくる理由のひとつはそこだろう。
 かつてのヒット作をリメイクするのは、いまの時代の物語として残すためと考えている。擬人化して語るのではなく、人間の物語として描く方が21世紀にはふさわしのだろう。



 

 
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