「ラブ・ネバー・ダイ」日生劇場 2月11日昼

 前回とWキャスト総入れ替わりの回を観劇。

ファントム 石丸幹二
クリスティーヌ 平原綾香
ラウル 小野田龍之介
マダム・ジリー 鳳蘭
メグ・ジリー 夢咲ねね

 2回目で見えるところが違うのと、キャストが替わったことで感じる違いとがある。前回は考えなかったことを考えるというのもある。

 オペラ座では殺人鬼だったファントムが、あれから10年間に人を殺した様子がない。人を殺すことに何の躊躇もなかった人物がなぜ変わったのか。

 「月のない夜」でファントムは"隠れ家にクリスティーヌが訪ねてきた"と歌う。この隠れ家はオペラ座の地下とは別のところと受け止めていいのか。
 「オペラ座の怪人」はメグ・ジリーが地下に残された仮面を手にするところで終わる。あれは比喩というか象徴的な表現で、メグとマダム・ジリーはファントムをオペラ座から苦し、どこかの隠れ家に一時的に匿い、ほとぼりの冷めたところでニューヨーク行きの船に乗せた…ということだろうか。

 オスカー・ハマースタインがマンハッタン・オペラハウスを開場したのは1907年なので、こけら落とし公演の目玉にヨーロッパのスター、クリスティーヌ・ダーエを呼んだのはその年ということになる。タイタニックよりも4年前、暖かい季節の船旅だったのか。
 メグ・ジリーが海へ泳ぎに行くのは身を清めたいからで、季節はたぶん関係ない。冬の海でも入りたいくらいに、身を清めたいと思うのは、それだけのことがあったことが示されるが、メグはその話が出るのを嫌がり、出そうになると話題を逸らす。



 ファンタズマの舞台裏で十年ぶりにクリスティーヌと再会した時にメグが"クリスティーヌ"と繰り返すメロディーは「オペラ座の怪人」で使われていたのと同じ。クリスティーヌがファンタズマに現れたことには複雑な思いがあるはずだが、それは表に出さない。出したくない。
 「レベッカ」の"わたし"は楽しかった思い出を瓶に集めると言っていたが、メグ・ジリーが瓶に溜めているのは辛かったこと、忘れたいことだ。十年間は堪えてきたが、ついに瓶から溢れ出始める。母マダム・ジリーが言っていた通り、彼女は取り乱している。何をしているか自分でもよくわかっていない。他者を殺すことも傷つけることも望んではいない。落ち着きかけたところで、意図は彼女を鎮めることだったとしても、彼女としては絶対に聞きたくないことを言われて、完全に心のバランスを失ってしまう。
 懐かしそうに♪クリスティーヌ♪と歌っていた場面との対比が哀れでもあり、怖くもあった。

 劇中に"Prima Donna"のメロディーが出てきてファントムとラウルが歌う。「オペラ座の怪人」では"Prima Donna"とはカルロッタのことだが、ここではクリスティーヌを指す。


 クリスティーヌが"愛は死なず"のメッセージを誰に伝えようとしているのか。映像ではわからないが歌う時に、彼女の視線は大部分の時間、ラウルを向いている。歌詞はファントムが書いたものだが、彼女は自分の言葉として歌っている。

 歌い終わった時、ラウルはいなくなっていて、ファントムが駆け寄ってくる。彼女のメッセージを2人はそれぞれどう受け止めたのか。


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