「GOLD~カミーユとロダン~」@シアタークリエ

 カミーユとロダンとは、"考える人"のロダン(石丸幹二)とやはり彫刻家のカミーユ・クローデル(新妻聖子)です。ロダンには妻がいましたが、カミーユと愛人関係にありました。カミーユは自身を彫刻の天才と考えていて、自分の作品が世に出て、高く評価されるべきと思っていますが、時代もあって女性彫刻家は存在すら認めてもらえません。ロダンとの関係においても、芸術家としても進むべき道が見えない、あるいは閉ざされてしまったことから、カミーユは次第に心を病み、自分が美の支配者である世界へ行ってしまう。そういう物語です。
 家族と田舎に住んでいて、弟ポール(伊礼彼方)と無邪気に粘土で遊んでいたカミーユ。彫刻への情熱を応援しようという父(西岡徳馬)の決意でクローデル家はパリへ出てきます。しかし、当時のパリでは女性の彫刻家など認められません。母(根岸季衣)はそうした世間の声を代表します。ロダンに才能は認められますが、あくまで彼の下働き扱いで、彼女は世に出ることができない。さらには妻のいるロダンの愛人となる。脱け出るチャンスもあったのに、結局、自分からロダンの元へ戻ってしまい、機会は永久に失われる。彼女は身も心も病んでボロボロになる。最後は病院に収容され、二度とそこから出ることはなく、当然ながら刃物を使う彫刻も二度と作ることはありませんでした。

 画家が主人公というと"Sunday in the Park with George"、音楽家が主人公というと「モーツァルト」もあるし、「ボーイ・フロム・オズ」もそうだし、コール・ポーターが主人公のものも複数観たことがあります。でも、彫刻家は初めてかもしれません。
 前半のセリフに「石の中に顔が見える、何かが石の中から私を呼んでいる」というのがありました。同じような内容で、ミケランジェロの言葉として伝わっているのは「私は、その大理石の中に天使を見いだす、彼を自由にするまで彫り続ける」。夏目漱石の「夢十夜」には運慶が「木の中に埋まっている仁王を掘り出している」という描写があります。絵だとか塑像だったら、何もなかったところに何かを加えていって、作品ができあがる、つまり足し算です。一方、彫刻はそぎ落としていく、引き算をしていくことで作品ができるということが言えそうです。そぎ落としのためには素材(木や石)を知り、見つめ、力を以て挑むことが必要でしょう。
 カミーユとロダンが美と向き合う、カミーユが芸術の世界での女性の立ち位置を確かなものとするために闘志を燃やす、そうした意志や抽象的なところは伝わってくるのですが、石に鑿と槌で闘いを挑んでいるかというと残念ながらそこのところは物足りなく感じました。

 その物足りない部分を補って余りあったのは最後にカミーユ(新妻聖子)の歌うタイトル曲「GOLD」でした。激しい情熱と、美への渇望と、絶望とが織り合わさり、重なり合ったもので、カミーユの狂気とも取れるし、彼女が自分の信じる美の世界を作り上げ、そこの女王となったことを示しているとも取れそうです。

 余談ですが、ポール・クローデルは外交官として1920年代の何年かを駐日フランス大使として日本で過ごし、恵比寿にある日仏会館の設立にも関わったのだそうです。彼が日本にいたことはカミーユとは関わりありませんが、せっかくの日本版上演なのだから、ちょっと触れるところがあってもよかったのではないかという気もします。

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