「コーラスライン」@劇団四季自由劇場

 四季の「コーラスライン」は2009年の暮以来です。来日公演を観たのも同じ2009年、こちらは夏でした。備忘録のように書きとめたものを事前に読み直しておこうかと思ったのですが、つい失念してしまい、過去の記憶は曖昧な状態での観劇となりました。あとで読み返したら、今回書こうかと思ったのと同じことを書き連ねていました。忘れるというのは便利なものです。生年月日が1980年代に変えられていることについては、前回書いていたので、今回は触れません。
 幕が上がる前にプログラムのこと。表紙を開けたら、A3二つ折りの紙が挟んであって、そこに"本日のキャスト"の役名と写真入りプロフィールが日付つきで載っていました。その代わりにプログラムにはキャスト情報はありません。日替わりで印刷するとなると、急な交替の時にたいへんなことになりそうです。いつもの"本日の出演者"名を記した小さな紙は、プログラムのキャストプロフィールとは別に用意されていました。

 オープニングが終わって、演出家ザック(脇坂真人)によるインタビューが始まります。この場面を観ていると、中学や高校の頃の新学期を思い出します。特に高校は人数の多いところで、前の年に同じクラスだった人が4~5人しかおらず、大多数は初対面だったので自己紹介は必要な行事でした。
 必要な行事だからといって積極的に参加したいかどうかは別問題です。自分のことを話すというのは難しい。何を話したものかを考える時間が欲しいとか、できれば最初にはやりたくないとか思ったものです。裏腹ですが、最後になって待ち時間が長いのもいやでした。アメリカ人は自己主張が強いという印象がありますが、最初にはやりたくないと思ったりもするのだなと妙な共感を覚えます。
 
 自己紹介は言いっ放しで済みますが、高校の生物の授業では順不同で1人ずつ指名され「生物とは何か」を発表し、それについて教師と問答するという時間がありました。かなり雑なことを言っていたのが、問答を重ねるうちに内容が深まっていきます。当時は自分の順番が穏便に過ぎることだけを考えていましたが、いま思うと人生観についての思考の芽を出させようとしていたようです。問答は、質問する人の専門次第で「生物とは何か」でも「なぜダンスを踊るのか」でも導かれるところは同じです。
 「コーラスライン」はダンサーたちに取材して、ダンサーたちを主人公に作られていますが、演出家とダンサーたちとの問答が重ねられるうちに、人生観についての問いかけであることが明らかになっていきます。

 終盤の"もし踊れなくなったら"という問いかけは、スティーヴ・ジョブスのスピーチにあった"もし今日が人生最後の日だったら"と重なります。「コーラスライン」の問いかけは、ダンサーでなくなった後にも人生は続くという点でスティーヴ・ジョブスの話とは違うのですが、導かれる結論は同じです。フィナーレの"One"は一世一代で、これが人生最後のパフォーマンスとして演じられているようにも思われます。

 正直なところ、クリスティンが3人か4人いたように思われるなど、歌やダンスには物足りなさがあるのですが、ポールとザックとの一対一の問答、怪我から最後の問いかけへの流れで、観た甲斐はあったと思っています。

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