「夢から醒めた夢」@四季劇場秋

 公演日程表によると、地震当日、四季劇場は春秋とも昼公演がありました。満席なら2千を越える人がいたことになります。公演は当然中断しただろうけれども、ゆりかもめもJRも動いていなかったので、かなりの人が足止めになったに違いありません。尋ねてみたところ、7百人くらいが劇場に泊まったとのこと。学校観劇の団体がいたけれども、迎えのバスが渋滞でなかなか来られない。来たとしても学校まで戻すことしかできないので、交通手段がない夜中に帰すよりも朝まで待ってもらった方がいいのではないかという判断もあったようです。その後、千秋楽直前だった「サウンド・オブ・ミュージック」はそのまま公演終了。「ライオンキング」は公演を再開していましたが、集客は厳しそうです。

 「夢から醒めた夢」は公演が始まったばかりとあって、それなりに客席は埋まっていました。たぶん2回くらい観たことがある作品ですが、毎回少しずつ変化していたように記憶しています。ただ、どこがどう変わったかは、あまりよく覚えていません。赤川次郎の同名の絵本を原作に、物語の根幹とテーマを生かしつつ、新たな場面を作ったというところでしょうか。

 主人公ピコ(岡村美南)は不思議なことに憧れる少女です。夢の中なのか現実なのか、彼女は夢の配達人(道口瑞之)と出会います。彼に案内された夜の遊園地で、ピコは幽霊の少女マコ(苫田亜沙子)と友達になります。母親の目の前で交通事故のために命を落としたマコは、母親に別れを告げられなかったことを悔やみ、目の前で娘が亡くなったことで自分を責めている母親を慰めるために、一日だけ入れ替わってほしいとピコに頼みます。
 冒険好きというのか無謀というのかピコは頼みをききいれ、代わりに霊界空港でマコが乗る便の出発を待つことになります。霊界空港の搭乗手続きは亡くなった人たちが持っているパスポートのチェックです。カウンターにいるのは天界のエンジェル(川島創)と地獄代表のデビル(川原洋一郎)。パスポートが白ければ天界へ行って光になる。黒ければ地獄へ。どちらでもなければ、この空港で奉仕活動をして白くなるのを待つことになります。マコのパスポートは真っ白です。
 白いパスポートを持って待っているのは、長年地域医療に尽くしてきた老医師(高橋征郎)。この人は奥さん(佐和由梨)が来るのを待っています。そして、世界各地で戦争やテロのために命を落とした子どもたち。灰色のパスポートを持って、奉仕活動をしているのは、ヤクザ(野中万寿夫)、暴走族(西尾健治)、仕事中毒で家庭を省みなかった部長(田中廣臣)、そしていじめが原因で自殺したメソ(藤原大輔)です。彼らには年に一度の審査があって、そこで認められればパスポートが白くなって天界へ行くことができます。しかし、なかなか難しい審査のようです。
 霊界空港に好奇心を燃やしたピコは、パスポートが入ったバッグをメソに預けて、見物に行ってしまいます。その間に、間の悪い物の弾みのようなことがあって、メソはマコのパスポートを自分のものとして、搭乗手続きをしてしまいます。戻ってきたマコがパスポートを見ると、すり替えられたメソのパスポートが真っ黒になっています。マコには何がなんだかわかりません。ここで休憩。

 観客にはわかっていますが、マコや霊界空港の人たちにはわからないことです。二幕はその謎解きから始まります。すぐに天界へ行く便に乗る支度を整えていたメソが引き立てられてきます。しかし、マコの白いパスポートは一度機械処理をしたために、使えなくなってしまっています。規則上、再発行することはできないとデビルは言います。
 が、全員の真摯な思いが通じて、ついにデビルも再発行を認めます。それはよかったのですが、再発行には、本人の名前が必要です。それなのにピコはマコとしか知りません。出発予定時刻までに何とか見つけなければなりません。大騒ぎの末、なんとかマコの名前が見つかり、パスポートは再発行。ピコはマコのところへ向かいます。
 マコと母親(早水小夜子)の別れ。時間がないとわかっていても、なかなか離れることができません。娘を行かせまいと引き止めようとまでします。ピコは代わりに霊界へ行くことも考えますが、やがてマコが母親を説得します。
 そして、ピコとマコは再び入れ代わります。そこには誰もいなくなっていましたが、ピコは朝の光の中に、マコや霊界空港で出会った人たちの存在を確かに感じている、というところで終わります。

 前に観た時にも思ったのは、霊界空港のパスポートを最新のコンピュータで処理するというのが、いただけないということです。まず歌詞の「磁気テープ」は「ICチップ」にした方がよさそうです。またマコを探す時のドタバタは"最新のコンピュータで処理するなら、条件検索で絞り込むことができるはずです。例えば年齢で絞れば"熟年女優"は出てこないでしょう。マコ(女の子)のパスポートをメソ(詰襟風の服装)が使うことができるのもどうかと思います。ついでですが、"マコ"という愛称は「マ○コ」(伏字にすると、かなり変ですが、しかたがありません)よりも、「○マコ」さんか「マコ○」さんか「マコ」さんではないのかなという気もします。
 むしろ、古典的なお役所らしいファイルを何冊も引っくり返して探す、アナログな感じの方がよかったのではないかと、今回も思いました。

 内容について、いろいろ思うこと感じることはあるのですが、どうも言葉にすることにためらいがあり、あらすじにとどめておきます。

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夢から醒めた夢
ポニーキャニオン
1988-12-21
劇団四季
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