「ジョアンナ」@シアター1010

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 シアター1010は北千住駅前の商業ビル11階にある足立区の施設です。千代田線を降りて、階段を上がると、そのビルの地下1階に直結した改札があります。ビルのエレベーターは2ヵ所に3基ずつ。食品売場を通り抜けていきます。商業ビルなので、途中で何度も止まるのはしかたがないのですが、問題はどちらのエレベーターホールへ行っても、待ち時間がけっこうあることです。この日は2基が下向きに動いていて、これならと期待したのですが、あいにくの結果でした。エレベーターホールに着いてから11階に出るまで5分。ぎりぎりの時間だったため、時計をずっと気にしていたのでわかりました。

 さて「ジョアンナ」。わかぎえふのオリジナル脚本です。チラシには9世紀の女教皇ジョアンナを主人公にした物語と出ていて、そのつもりで観ていたのですが、テンプル騎士団が出てきたり、フランス王が出てきたり、ドメニコ会やフランチェスコ会の修道院が出てきたり、時代が合いません。9世紀にはテンプル騎士団もフランス国もドメニコ会もフランチェスコ会もまだありません。休憩時間にプログラムを見たところ、女教皇ジョアンナ(ヨハンナ)伝説を舞台化するつもりが構想が膨らみ、伝説を踏まえてはいるものの、14世紀に教皇になる機会を得たジョアンナという女性を主人公に新たな物語を創り上げたということが書いてありました。

 14世紀のはじめ、フランス王フィリップ4世は、テンプル騎士団の弾圧をはじめます。騎士団の修道僧たちを逮捕、異端者として残虐な方法で次々に処刑していきます。目的は騎士団の持つ莫大な財産です。行方の知れない騎士団の有力者を捕えるため、その隠し子たちに魔の手がのびてきます。アルフォンソとジョアンナ(安寿ミラ)の兄妹は、ロドリゴ(葛山信吾)という修道士の言葉に従ってある教会へ連れていかれ、そこでモントレーという男の手にかかり兄は殺され、ジョアンナは修道僧の姿で逃げ延びます。
 修道僧の姿だと、道行く人々、街の人々からさまざまな喜捨を受けられます。教会を宿とすることもできる。しかし、あてもないままいつまでも逃げ続けることは無理です。そんな状況で、彼女は大司教ボッスと出会います。ボッスは目が見えず、ジョアンナが女性であることに気づきません。話を合わせるため、彼女は修道士ジョバンニと名乗ります。禅問答ならぬカソリック問答をするうち、ボッスはジョバンニの自由闊達な発想・発言を気に入ります。
 そこへ、ローマ教会からボッスへの迎えが来ます。ドイツ皇帝が戴冠を望んでいるのに、ローマ教皇がフランスに幽閉されているため、戴冠式の一日だけ教皇代理を務める者を選ばなければならない。その選抜のために、候補を連れて来てもらいたいというのです。ボッスはジョバンニを連れ、ローマへ向かいます。
 教皇候補はもう一人。モンターギュ大司教が連れてきたモントレーでした。そして、立会人にジョバンニの正体を知っているロドリゴ。もっともロドリゴは事情を知らずに、ただ2人を連れていく役目を言いつけられただけだったと話します。ここで、ロドリゴはジョアンナの味方になります、
 教皇選任という場に来ると、ボッスは宗教家ではなく政治家という立場で行動します。すなわち、モンターギュ大司教と裏取引をして、ボッスの顔を立てつつ、最終的にはモントレーを勝たせる段取りを決めます。勝負は論争です。最初の2問は1問ずつ取らせる。3問目でモントレーに勝たせるというものです。曖昧な問題を出せば、勝ち負けはどうとでもできる、という読みです。
 ところが、ここでジョバンニはとんでもない弁論で、観衆の圧倒的な支持をとりつけてしまいます。ジョバンニの勝ちでなければ、観衆は納得しない。そのとき、モントレーがジョバンニはジョアンナという女だと言い出します。9世紀の女教皇ヨハンナの故事から、教皇に任ぜられるものは、穴のあいた椅子に座り、下から枢機卿たちがのぞいて、男であることを確認されるという風習があったという伝説があります。ジョアンナは窮しますが、ロドリゴが彼女の手を引いて、その椅子がある階上へと案内します。
 そして、ジョバンニは一日だけの教皇の役割を務め、ロドリゴに別れを告げて、教会を出ていきます。

 前半は、聡明で自由闊達な考え方をする主人公ジョアンナという女性のキャラクターを示しつつ、理不尽に追われる過程がシリアスに描かれていました。暗めの照明と中世風の宗教音楽も、そのイメージ作りを助けていたようです。
 後半は、それに比べると、モントレーの愛人が色仕掛けでジョアンナを籠絡しようとする場面などもあり、少なからずおちゃらけた印象です。おちゃらけてもいいのですが、一幕のシリアスな中のおちゃらけと、二幕のおちゃらけの中のおちゃらけとの織り合わせが、別作品のように感じました。

 安寿ミラのジョアンナは、きりっとした強さと美しさと賢さがあって、魅力的なキャラクターですが、いかにボッスの目が悪いとはいえ、手を握れば女性であることはわかるでしょう。目に問題のない人たちも、男ではないことを見破りません。これは基本設定なので、ほとんどの人にわからない理由が何かあってほしいところです。
 また、クライマックスの宗教問答は現代人である私にはおもしろく感じられますが、この物語の世界の中では、最初のひと言で異端扱いにされそうです。全体がもっとゆるい物語ならありかもしれません、

 主演が元宝塚のトップスターだったこともあり、下品すぎるところを修正して整理すると、宝塚歌劇にもなりえる題材かなとも思いました。 
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