「宝塚BOYS」@シアタークリエ

 戦後間もないころに実在した、宝塚歌劇男子部を描いた作品です。今回で三演めということですが、初めて観ました。男子部員を演じるキャストが一新されています。乙女の園である宝塚歌劇に、一時期ですが男子部があったことは聞いたことがあります。彼らが宝塚大劇場でレビュウの舞台に立つことがなかったことも聞いていました。

 戦後間もない頃に、男子部が設けられた理由は想像できます。ひとつには新たな娯楽が求められていたこと、そして終戦後、生きる目的を見失っていた若い男たちが夢を求めていたことなどがあるでしょう。登場人物には特攻隊帰りという人がいます。病気のために軍隊に入ることができなかった人もいます。そんな、はぐれ者たちの目に入ったのが宝塚歌劇の夢。ひとりが小林一三に何度も手紙を書き、その熱意への応えが男子部募集ということです。夢と志を抱いて、彼のレッスンが始まります。廊下から聞こえてくる歌劇団の生徒さんたちの声。八千草薫さんや有馬稲子さんたちかもしれません。
 一年目。ほぼ素人だったのだから、まだ舞台に出ることができなくても仕方がありません。しかし、二年、三年と経つうちに、本当に宝塚歌劇の舞台に立てるのか、不安になってきます。周囲の目が決して温かくないことにも気づいてしまいます。舞台に出るチャンスがあっても馬の足。歌やダンスのレッスンをどう役立てられるでしょう。
 大人の事情、あるいは子どもじみた事情で、男子部員たちの夢はかなえられることはありませんでした。史実でいうと、9年めに解散が決まります。もしも、彼らが宝塚歌劇の舞台に立っていたら、女性だけのレビュウ劇団というユニークな存在は消えて、その後の日本の芸能史はまるで違ったものになっていたでしょう。しかし、毎年、男子部員の募集もしているというのに、ひどい話ということもできます。
 矛盾するようですが、彼らは幸福だったのだと、この作品では描かれています。夢を見ることができた。戦争のために見失っていた生きる目標をと生きる実感を取り戻すことができた。だから、宝塚歌劇男子部で過ごした九年間に悔いはない、そう思うことができたのでしょう。

 終盤に、彼らのレビュウ場面があります。「モンパリ」が歌われる。「すみれの花咲く頃」はタンゴからボレロとスパニッシュ。大劇場の舞台に立ちたかったという男子部員たちの、そしてもう一人の大劇場の舞台に立てなかった人の夢の具現化だと思われます。サヨナラ公演という夢なのでしょう。せつないのですが、新しい出発でもある、未来へ向かう気持に涙が出ました。歌劇団の生徒さんたちと一緒に大劇場の舞台へ立つ夢だとしたら、幻の女性スターと踊るデュエットダンスがあると、なおよかったかもしれません。



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