「スカーレット・ピンパーネル」@東京宝塚劇場


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 前に星組での上演がありましたが、今回は月組です。作品の人気に加えて、新しいトップスターのお披露目だからか、チケットは売切れ。当日券の競争も厳しそうです。たまたま行ける日だったのが、ワールドカップの日本ーデンマーク戦の日だったので、夜更かしか極端な早起きをした人が多かろうと願いつつ、当日券目当てに行ってみました。昼前でしたが、窓口にはまだ売切れとは出ていません。端の方でしたが、立見が買えました。予想はしていましたが、劇中、仮面舞踏会の衣装についてのアドリブは、この日にふさわしいものでした。

 このミュージカルはブロードウェイで何回か観ました。公演中に改変が2回あり、ブロードウェイだけで3つのバージョンがあるのですが、それを全部観ています。この作品のいいところは、愚劇であることです。演出家・鴨下信一の著書「毎日がドラマ感覚」で知った言葉で、いろいろ突っ込みどころはあっても、最後にスッキリできる、機嫌のいい芝居と定義されています。「スカーレット・ピンパーネル」の原作は「紅はこべ」という題名の邦訳がある冒険活劇。大きな目的のためにバカ殿を演じるというのは、「リボンの騎士」にもあったし、「一條大蔵卿」にもあります。
 ブロードウェイ版は、バカ殿ぶりの戯画化が過剰な上に、あまり中身がないと感じるものだったのですが、冒険活劇の血湧き肉踊る感覚を代表する"Into the Fire"と曲がありました。カーテンコールにもう一度、この曲が歌われると、途中にいろいろとおかしな点があったのを忘れさせるだけの力があったのです。
 3回観たのは、改変したのを観たいという興味もありましたが、最大の理由は、到着当日にボーっとした頭で観ていても話がわかり、時差ボケで眠くなってもまあいいかと諦めがつくことでした。最後の"Into the Fire"でスッキリできるのもよかった。

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ブロードウェイで観て ...
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『紅はこべ』のミュー ...
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 いちばん最初のバージョンは、「マダム・ギロチン」でおどろおどろしく始まりました。革命の陰の陰惨な恐怖政治の描写から始まるのは、後の冒険活劇へのつながりとしては悪くないと思いますが、たぶんつかみとして弱かったのでしょう。

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1999-11-10
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 第二版の幕開きは、もともとは2幕にあった、コメディ・フランセーズでの華やかな場面"Storybook"に替わりました。2幕でマルグリットが、心の見えないパーシーを思って歌う"Only Love"など何曲かがカット。ちなみに、この"Only Love"は、「ルドルフ」で再利用されています。大人の女性であるマルグリットの歌だったのが、17歳の少女マリーの歌に変わったわけです。フランク・ワイルドホーンの曲には、物語から離れたスタンダード・ナンバーになりうる魅力があることの証左になるでしょうか。"When I Look at You"もスタンダード化できそうです。スタンダード化は難しいですが、三重唱の「謎解きのゲーム」もよかった。
 第三版は、予算削減という理由が大きかったようで、少し小さな劇場に移り、キャストも減っていました。

 宝塚版が「マダム・ギロチン」から始まるのは、再び第一版の基本に立ち返り、改めて作り直されたことの表れでしょうか。この後に新曲「ひとかけらの勇気」を入れたことが成功の要因だと思います。ただただおちゃらけていたブロードウェイ版のパーシーが、なぜフランス貴族救出に向かうのか、彼の動機が明確になりました。後半に、妻マルグリットとの心のすれ違いが解消されることの表現にもなっています。
 また、物語のクライマックスに王太子ルイ・シャルル救出をもってきたのも、宝塚版独自の工夫です。原作の小説の、何冊もある続編のどれかにあるエピソードであるらしいのですが、無名の貴族の救出よりもわかりやすく、家族を失った少年の言葉がマルグリットの心を動かすところには、ちょっと涙も出ました。
 また、詳しく書くとネタばれになりますが、ブロードウェイ版にはグラパンという人物も出てきませんでした。宝塚歌劇にとって、フランス革命というテーマは大切な宝物なので、オリジナル版で笑いにつなげていたところをどう扱うか、グラパンがその答だったのでしょうか。
 決着の付け方は、マダム・タッソーが唐突に登場するブロードウェイ版よりも、筋道が通っていたように思います。

 宝塚版海外ミュージカルのいいところに、人数が多いので、元のものよりも豪華で贅沢な感じになることがあります。今回もパリで市民が集まっている場面、イギリスの仮面舞踏会の場面などはブロードウェイ以上でしょう。男女デュエットの時の娘役の負担の大きさはありますが、今後もこういう挑戦は続けてもらいたいものです。
 

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